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木の住まいコラム

片付かない家の共通点──収納を増やしても片付かない本当の理由

「収納は十分あるはずなのに、気づけばいつも物が出しっぱなし」「頑張って片付けても、数日経つとまた元通り」。そんな悩みを抱えていませんか。
多くの方は、この原因を「自分が片付け下手だから」「モノが多すぎるから」と考えがちです。しかし実際には、住まいの収納の設計そのものに原因があるケースが少なくありません。
今回は、片付かない家に共通する特徴と、その改善の考え方についてご紹介します。

<1>原因は「量」ではない

収納計画を考えるとき、よく参考にされる指標に「収納率」があります。これは延床面積に対する収納面積の割合を示すもので、一般的に戸建て住宅では10〜15%程度が目安とされています。延床面積100㎡の住宅であれば、収納スペースは10〜15㎡程度というイメージです。

ただし、この数値はあくまで床面積だけを表す目安です。棚の奥行きや高さ、可動棚の有無といった「実際に使える収納力」までは反映されませんし、必要な収納量は家族構成やライフスタイルによって大きく異なります。
そして何より、収納率の目安を満たしている住宅でも「片付かない」という声は少なくありません。
つまり、片付かない原因は収納の絶対量が足りないことではなく、収納の計画が上手くいっていないケースが非常に多いのです。

 

<2>ではなぜ片付かないのか

「収納の量は足りているのに片付かない」家には、いくつかの共通したパターンがあります。ここでは代表的な3つの原因を、実際によくある事例とあわせてご紹介します。

■どの部屋で何を使うかが想定されていない

部屋ごとに「何を使うか」を具体的に想定せずに収納を計画すると、暮らし始めてから予想外の物が集まり、受け皿となる収納がないまま溢れてしまいます。
特に注意したいのがリビングです。家族全員が使う場所であることに加え、お子さんの学用品やおもちゃ、郵便物、脱いだ上着、充電中のスマートフォンなど「物の出入り」がもっとも多い場所でもあります。そのため受け止める収納がないと「とりあえずここに置いておこう」が積み重なり、テーブルや床に物が広がって見えてしまいます。

■大きな収納はあっても、場所ごとのサイズ設計が適切でない

パントリーなど大きな収納スペースがあると安心しがちですが、実際の使いやすさは広さよりも奥行き・高さ・仕切り方といった「サイズの設計」次第です。
たとえばパントリー棚の奥行きが深すぎると、奥に入れたものは取り出しにくく存在を忘れられがちで、気づけばストック食品の賞味期限が切れていた、という失敗はよくあります。収納量は足りていても、実際に使えるのは手前だけ、というギャップが片付かない印象や無駄なストックを生んでしまうのです。

■収納場所と使う場所が離れている

収納スペースが十分にあっても、使う場所から離れていると、しまいに行くひと手間が面倒になり、出しっぱなしが当たり前になってしまいます。
たとえば2階の納戸に、1階でよく使う掃除道具や日用品のストックをしまう計画にすると、結局取りに行くのが億劫になり、リビングや玄関先に物が置きっぱなしになりがちです。収納までの「距離」は、片付けの心理的なハードルに直結します。

<3>後悔しない収納計画

ここまで見てきた3つの原因は、いずれも新築の設計段階で対策できるものです。ここでは、それぞれの原因に対応する具体的な収納計画の考え方をご紹介します。

■「行為」から逆算して収納場所を決める

収納を計画するときは、「その部屋で何をするか」という行為をまず具体的に洗い出し、その行為に必要な物を、実際に使う場所のすぐ近くに配置することが大切です。いわば、暮らしの動線に沿って収納を組み立てていく考え方です。

たとえばリビングであれば、次のような工夫が有効です。
「リビング学習をする」
テーブルの近くや造作収納の一角に、教科書や文房具専用のスペースをあらかじめ確保しておく。

「家族の書類や郵便物が集まりやすい」
テレビボードの脇や壁面に、浅めのオープン棚と扉付き収納を組み合わせた「書類コーナー」を設けておく。

「スマートフォンやタブレットの充電が集中する」
コンセントを備えた充電コーナーを収納棚内に用意しておく。

このように、リビングで実際に行われる一つひとつの行為を想定して収納を配置しておくことが、散らからないリビングづくりの鍵になります。

またリビング以外でも、玄関には靴やガーデニング用品など玄関周辺で使うものだけの収納を、ユーテリティーにはタオルや洗濯用品、洗剤ストック品のための収納など、行為が起きる場所ごとに必要な分だけ小分けにして配置していくことが、結果的に片付けやすい家につながります。

■収納品にあわせた「サイズと奥行き」で設計する

パントリーなどの大型収納は、広さを確保することよりも、奥行きを浅めに設定する、可動棚で高さを調整できるようにする、奥のものまで一目で見渡せる配置にするといった工夫のほうが、実際の使いやすさに直結します。
反対に布団や季節家電を収納しておく押入れ等は、深めの奥行きとしておく必要があります。
収納の種類ごとに、使いやすい奥行きの目安は次のとおりです。

収納物ごとの使いやすい奥行きの目安

収納を計画する際は「何がどれだけ入るか」だけでなく、「入れたものがきちんと使われ続けるか」まで踏み込んで考えることが、収納率の数字以上に大切なポイントです。

■あえて「一時置き」の収納を設計しておく

人の動きが集中するリビングや玄関には、あえて小さな「一時置き」のスペースを計画段階から用意しておくという考え方もあります。引き出しやトレー、ボックスなど、一時的に物を置ける場所をあらかじめ設計に組み込んでおくことで、「とりあえず置く」という行為そのものを収納の一部として受け止めることができ、物が出しっぱなしに見えるのを防ぐことができます。

■将来の変化に備えて「可変性」を持たせておく

ここまでの提案は、いずれも「今の暮らし」に合わせた収納計画ですが、忘れてはならないのが、持ち物はライフステージによって変わっていくという点です。お子さんが小さいうちはおもちゃや絵本が中心でも、成長すれば学用品やスポーツ用品に変わり、やがて独立すれば夫婦の趣味の物や親の介護用品に置き換わっていく、というように、収納に求められる中身は年々変化します。
新築時点の暮らしに合わせて収納を細かく作り込みすぎると、こうした変化に対応できず、数年後には「使われない収納」や「入りきらない収納」が生まれてしまいます。可動棚で棚板の高さを後から調整できるようにしておく、収納内部の仕切りを可動式にしておくなど、あらかじめ「可変性」を持たせた設計にしておくことで、将来の持ち物の変化にも無理なく対応できる収納になります。

“片付かない家”に共通しているのは、収納の「量」が足りないことではなく、「どこで何を使うかの想定」「場所ごとのサイズの設計」「収納までの距離」という3つの設計要素にずれがあることでした。
収納率のような数値はひとつの目安にはなりますが、それだけを追い求めても、暮らしやすい家になるとは限りません。ご家族一人ひとりの暮らし方や物の使い方に合わせて、収納の場所とサイズを丁寧に設計していくことこそが、後悔しない家づくりの近道です。

 

 

<4>家の耐震・断熱・耐久性について詳しく知りたいなら、ウッドリンク・ラボに見に行こう!

ここまでご紹介してきたように、収納で後悔しないためには、目に見える「量」だけでなく、暮らしに合わせた設計の工夫が欠かせません。同じように家づくりでは、耐震性や断熱性、耐久性といった、実際に暮らし始めてから初めて実感できる性能も、図面やカタログの数値だけではその違いを判断しにくいものです。
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