新築住宅を建てたばかりなのに、地震後に住めなくなってしまった――2024年の能登半島地震では、そうした事例が各地で報告されました。建物そのものの問題ではなく、原因は「液状化」による地盤の変形でした。
液状化は、決して特別な地域だけで起きる現象ではありません。日本全国に液状化リスクを持つ土地は広く分布しており、あなたがこれから選ぼうとしている土地も、そのリスクがあるかもしれません。
この記事では、液状化の基本的なしくみから、土地選びのポイント、有効な地盤改良工法まで、家を建てることを検討している方に向けてわかりやすくお伝えします。知識があれば、正しく選ぶことができます。怖がるのではなく、「正しく知って、安心して選ぶ」ための情報として、ぜひ最後まで読んでみてください。
<1>能登地震が教えてくれたこと
2024年1月1日の能登半島地震では、建物の倒壊だけでなく「液状化」による住宅被害が各地で深刻な問題となりました。石川県内灘町では道路が波打ち、新築・築浅の住宅が数十センチ単位で沈下・傾斜するなど、多くの住民が自宅を離れざるを得ない状況に追い込まれました。
液状化は「古い家だから起きた」問題ではありません。建物がどれだけ丈夫でも、地盤が液状化すれば建物は傾き、住めなくなります。
また、液状化被害は今回が初めてではありません。1964年の新潟地震や2011年の東日本大震災でも同様の被害が繰り返されてきました。そのたびに「対策の重要性」が叫ばれながらも、十分な対策が取られないまま過ぎてきました。
家を建てる前に、液状化リスクを正しく知っておくことが大切です。

内灘町の液状化被害(石川県ホームページより)
<2>そもそも液状化ってなに?
液状化という言葉は知っていても、その仕組みを正確に理解している方は意外に少ないものです。ここでは、液状化がなぜ起きるのかを、わかりやすく説明します。
■液状化が起きる3つの条件
液状化は、次の3つの条件が重なったときに発生します。
① 砂や砂礫が多い地盤
液状化しやすい地盤は、細かい砂粒子が多い「砂地盤」です。かつて川や海だった場所、埋め立て地、田んぼや沼を造成した土地などがこれにあたります。
② 地下水位が高い
地盤の浅いところに地下水が存在していることが必要です。地下水位が地表から数メートル以内にある土地では、液状化のリスクが高まります。
③ 強い地震の揺れ
上記の条件を持つ地盤が、強い地震動にさらされると液状化が発生します。
■ではなぜ「液体」になるのか
通常の砂地盤では、砂粒子同士が接触・摩擦しながら建物の重さを支えています。ところが地震の揺れが加わると、砂粒子のすき間に閉じ込められた水が激しく揺さぶられることで行き場を失い、砂粒子同士を押し離すように広がります。すると地盤全体がドロドロの泥水のような状態になります。これが液状化です。
土が水のように振る舞うため、重い建物は沈んでいき、軽いものは逆に浮き上がります。マンホールが地面から飛び出したり、道路が大きく波打ったりするのも、この現象によるものです。
イメージが難しい液状化のメカニズムを簡単にモデル化して再現した動画がありますので、ご覧ください。
液状化が怖いのは、建物そのものが壊れていなくても、地盤が変形することで傾き・沈下・亀裂が生じ、住めなくなってしまう点です。構造上は問題ない建物が「全壊判定」に相当する損害を受けることもあり、資産的な打撃も非常に大きくなります。
<3>土地選びが「9割」を決める
良い家を建てるには、良い地盤の土地を選ぶことが前提です。液状化対策の観点では、「土地選びが9割」と言っても過言ではありません。
■まずハザードマップで確認しよう
土地を探し始めたら、最初に確認してほしいのが各種ハザードマップです。国土交通省が提供する「重ねるハザードマップ」や、各自治体が公表している「液状化ハザードマップ」を使えば、検討中の土地の液状化リスクをおおまかに把握することができます。
これらのマップでは、土地ごとに「液状化の可能性が高い・中程度・低い」といった区分が色分けで表示されています。まず候補の土地の住所を入力して、どのゾーンに入っているか確認することをお勧めします。
■地形・地歴から読み解く
ハザードマップに加えて、土地の「地歴」を調べることも重要です。国土地理院が提供する「地図・空中写真閲覧サービス」では、数十年前の航空写真を確認することができます。現在は住宅街になっていても、かつては田んぼや池、川が氾濫しやすい低地だった土地は液状化リスクが高い傾向にあります。
また地形図で「低地」や「谷地」に位置する土地も注意が必要です。周囲より低い場所は水が集まりやすく、地下水位が高い可能性があります。反対に、台地や丘陵地に位置する土地は、一般的に液状化リスクが低いとされています。
■地盤調査は必ず実施する
土地が決まったら、地盤調査を必ず行いましょう。一般的な住宅では「スクリューウエイト貫入試験(旧スウェーデン式サウンディング試験)」が広く使われており、地盤の固さや軟弱層の深さを把握することができます。ただし、この試験だけでは地下水位を直接測定することはできません。地下水位も確認したい場合は、ボーリング調査(機械で地盤を掘削してサンプルを採取する調査)を依頼しましょう。液状化リスクが高いと疑われる土地では、スクリューウエイト貫入試験に加えてボーリング調査まで実施することをお勧めします。
ハザードマップや地歴の確認でリスクが高いと判断できる土地は、はじめから選ばないことが最善策です。一方、立地や条件などの理由からそうした土地を選ぶ場合は、地下水位の調査まで丁寧に行い、結果に応じた地盤改良でリスクをしっかり下げることが重要です。地盤改良の工法については次の章で解説します。
<4>地盤改良で液状化リスクを下げる
ある程度のリスクがある土地でも適切な地盤改良を行うことで、安全性を大きく高めることができます。
主な地盤改良工法を紹介します。
■表層改良工法
地盤の表層部分をセメント系固化材と混合・攪拌して固める工法です。費用が比較的安く、施工も短期間で済みますが、深い部分の地盤には対応できないため、液状化リスクが表層付近に限られる場合に適しています。
■柱状改良工法
地盤に円柱状の改良体を格子状に形成し、建物を支える工法です。深さ2〜8m程度まで対応でき、多くの一般住宅で採用されています。セメント系固化材を使う「セメントタイプ」が一般的ですが、土質によっては六価クロムが発生するリスクがあるため、事前の土壌確認が必要です。一方、天然砕石で柱を形成する「砕石タイプ」もあり、排水効果による液状化抑制に優れた特徴を持ちます。
■鋼管杭工法
鋼管の杭を支持層まで打ち込み、建物を直接支える工法です。深い支持層まで確実に力を伝えられるため、支持力が高く信頼性に優れています。液状化リスクが高い軟弱地盤や、深い層まで改良が必要な場合に特に有効です。
どの工法が適切かは、調査データをもとに専門家と相談しながら選ぶことが大切となります。
<5>スクリュープレス工法という選択肢
最後に液状化対策としてご紹介したい工法があります。
砕石を使った柱状改良工法の一種である「スクリュープレス工法(砕石柱工法)」です。
スクリュー状の掘削刃で地盤を掘削しながら、天然砕石を投入・締め固めて地中に砕石の柱(砕石柱)を形成する地盤改良工法です。コンクリートや化学薬品を一切使わず、天然素材だけで地盤を補強できる点が大きな特徴です。砕石柱は、地震時に地盤内で高まった水圧を砕石の隙間から素早く逃がす「排水路」としても機能します。これにより液状化の発生を抑制する効果が期待でき、液状化リスクのある土地への地盤改良として特に有効な工法です。
■メリット
・天然砕石のみ使用で、コンクリートや化学薬品が不要。環境への負荷が少ない
・砕石柱の排水効果により、液状化リスクを低減できる
・施工時の騒音・振動が少なく、住宅密集地でも施工しやすい
・地中に異物が残らないため、将来の建て替え時にも影響が少ない
■デメリット
・礫や大きな石が混在する地盤では掘削が困難になる場合がある
・軟弱層が非常に深い地盤では、対応できる深度に限界がある
・柱状改良や鋼管杭と比べると支持力の面では劣るケースがある
以下に、前章で紹介した3工法とスクリュープレス工法(砕石タイプ)を加えた4工法の比較をまとめました。

地盤改良に「万能な工法」はなく、地盤調査の結果と土地の条件に合わせて最適な工法を選ぶことが、液状化リスクを確実に下げるための第一歩です。液状化リスクのある砂質地盤において、化学薬品不使用で排水効果による液状化抑制まで期待できるスクリュープレス工法は、特に有力な選択肢のひとつといえるでしょう。
<6>地盤のことで悩んだら、ウッドリンク・ラボに見に行こう!
良い家は、良い地盤の上に建ちます。ハザードマップで土地を確認し、地盤調査を行い、必要に応じた改良工法を選ぶ――このプロセスが、長く安心して暮らせる家づくりの土台です。
ですが家づくり初心者では難しい内容ばかりで悩むことも多いと思います。
そんなときは、是非ウッドリンク・ラボへお越しください。
ウッドリンク・ラボは、家づくりに必要な知識を見て・触れて・体感できる体験型施設です。地盤のことだけではなく、耐震・断熱・耐久性など、素人にはわかりにくい性能の違いを実際に体感することができます。
家づくり全体への理解が深まります。ぜひ一度、足を運んでみてください。
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