家づくりお役立ち情報

木の住まいコラム

HOUSE BUILDING
INFORMATION

引き渡し前に考えておきたい!お家の点検とメンテナンス

こんにちは。北陸型木の住まい研究会の藤井です。家づくりについて考える時、引き渡しまでのイメージを膨らませる方が多いのではないでしょうか。確かに引き渡しは一つの区切りになりますが、そこがゴールではありません。大げさかもしれませんが引き渡し後が本当のスタートとも言え、安心・安全に住み続けるためには定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。今回は家の点検やメンテナンスについて解説します。

 

1.どんなメンテナンスが必要になる?
2.メンテナンスの負担軽減
3.定期的な点検で早期発見・対応を!

<1>どんなメンテナンスが必要になる?

構造躯体

構造部のメンテナンスで定期的に行いたいのがシロアリ対策です。土台や床下は特にリスクが高いですが、普段目にする場所ではないので気が付いた時には木材がボロボロになっていた…ということも珍しくありません。シロアリの被害に遭っていないかを確認し、被害が無かったとしても定期的に薬剤処理を行いましょう。使用する薬剤にもよりますが防蟻効果が数年で切れてしまうものもあるので、少なくとも5年に1回は薬剤処理をすることをおすすめします。

屋根

紫外線や雨風に日々さらされているので劣化が進みやすいです。特に台風の後や積雪が多かった年は念入りに点検しましょう。例えば瓦屋根で割れやズレが起きていないか、スレート屋根にひび割れがないか程度であればセルフチェックも可能です。とはいえ屋根の形状や階数によっては地上からの点検が難しいこともありますので、数年おきに専門業者に診てもらうと安心ですね。セメントを固めたスレート屋根の場合は劣化が雨漏りにつながるため、定期的に塗装して防水性を保ちましょう。

 

外壁

屋根と同様に天候の影響を受けて劣化しやすい箇所です。劣化が進むと見栄えが良くないですし、雨水が内部に侵入して構造躯体を腐らせるリスクもあります。損傷や剥がれ、カビの発生がないかを確認し、万が一不具合が見られた場合は早めに専門業者へ相談すると良いでしょう。特に軒の出が短い家や総二階建ての家は雨が当たる面積が増えるので、上の部分までしっかり点検しましょう。また寒冷地で窯業系サイディングを使っている場合は凍害に気を付けましょう。

<2>メンテナンスの負担軽減

どんな家でも外観や安全性を保つためには定期メンテナンスが必要不可欠です。ただし設計の工夫や耐久性が高い素材を選ぶことでメンテナンス時の負担を減らすことができます。

 

構造躯体

シロアリ被害が起きていても気が付きにくいため定期的な点検は欠かせませんが、持続効果の高い薬剤を選ぶことで処理の頻度を減らすことが可能です。例えば農薬系薬剤処理は木材に薬液を塗っていくのですが、揮発分解するため数年おきに塗り直しが必要になります。そのため防蟻処理には効果が長続きする「ホウ酸」を使うことをおすすめします。施工方法は農薬系と同じですが、塗布したホウ酸が木材の中で結晶化するので、農薬系のように揮発分解しません。水に濡れてホウ酸が溶け出さない限りは半永久的に効果が続くので、農薬系に比べて塗り直しのコストが抑えられます。防蟻処理については「木材の防蟻処理を徹底解説!無処理でも大丈夫?健康被害は?」でさらに詳しく説明していますので、合わせてご覧ください。

屋根・外壁

屋根は瓦、スレート、金属など、外壁はモルタルや窯業系サイディングなどがありますが、メンテナンスの観点から屋根・外壁におすすめなのはガルバリウム鋼板です。ガルバリウム鋼板はアルミニウム・シリコン・亜鉛をメッキした金属で、錆びにくく、水を吸収しないため外壁の凍害リスクもありません。また耐久性が高いのでメンテナンスの頻度が少なくて済みます。例えば外壁のメンテナンス周期はモルタルで8~10年、窯業系サイディングで7~10年ですが、ガルバリウム鋼板は10~15年が目安です。屋根や外壁の補修は施工費に加えて足場代もかかるので、メンテナンスの周期が長い方が経済的にも安心ですね。

また外壁の劣化を遅らせるための工夫として、軒の出を長めにすることも一つの手です。軒の出量が少ないと雨が直接当たりやすくなることはもちろん、屋根からの雨が外壁をつたって流れていくので軒先側の外壁が傷みやすくなります。軒の出を長くすることで雨の日でも窓を開けることができたり、夏の暑い日差しを遮ることができたりといったメリットもありますよ。

<3>定期的な点検で早期発見・対応を!

定期的な点検で不具合を早期発見し、都度修繕していくことが将来的なメンテナンスコストを抑えることにもつながります。目立った劣化や損傷が見られなくても、引き渡しから5年毎に点検を行いましょう。また引き渡し後1年~2年のタイミングでも一度点検を行っておくと安心です。住宅会社が引き渡し前に点検を行っていても、実際に住んでみて気が付くこともあります。メーカーの保証期間によっては無償でメンテナンスできる場合もあるので、ぜひ確認してみてください。

定期的な点検を継続するために、引き渡し時に将来の点検スケジュールを決めておきましょう。スマートフォンのスケジュール機能を利用すれば数年先の予定も登録できて便利かもしれません。とは言え何十年も先の予定を管理するのは簡単ではありませんよね。住宅会社に定期メンテナンスのサービスがあればお任せで大丈夫ですが、施主が主体で動かなければならない場合は第三者機関の点検サービスを利用するのも良いでしょう。スケジュール管理が不要になるだけでなく、第三者にみてもらうことで安心感が高まります。自社の点検サービスとして第三者機関を採用している住宅会社もありますので、まずは検討中の会社に確認してみましょう。

<まとめ>

安心して長く住み続けるために、家の耐久性を高めたうえで定期的な点検とメンテナンスを行いましょう。引き渡しから1~2年と5年間隔のタイミングで点検を行い、不具合があれば早めに対処しましょう。住宅会社で定期点検を行っている場合は、点検の時期や引き渡し何年後まで点検してもらえるのかを確認すると良いですね。住宅会社で点検サービスがない場合は第三者機関に依頼することもできます。検討中の住宅会社に「引き渡し後の点検・メンテナンスは何年毎に誰が行うのですか?」と聞いてみましょう。

北陸の気候に合った家の性能を学べる施設「ウッドリンク・ラボ」では、耐久性の高い家の作り方をわかりやすくお伝えしています。ぜひご来場ください。

ウッドリンク・ラボ来場予約はこちら