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最大160万円!「子育てグリーン住宅支援事業」を徹底解説!

こんにちは。北陸型木の住まい研究会の多賀です。

「GX志向型住宅を建てると160万円」という、初めて聞くワードと高額な補助金に注目が集まっている「子育てグリーン住宅支援事業」。ようやく事業内容の詳細が発表されました。
今回はGX志向型住宅って何?どうすれば補助金がもらえるの?という疑問にお答えします。
是非最後までお付き合いください。

<1>GX志向型住宅って何?
<2>補助金活用の要件とは?
<3>補助金取得のためにすべきことは?

 

<1>GX志向型住宅って何?

今回の補助金の目玉とも言える「GX志向型住宅」。
「GX」とは、グリーントランスフォーメーション(Green Transformation)の略で、石油や石炭などの化石エネルギーに頼る社会から、太陽光や風力といった地球に優しい自然エネルギー中心の社会への変革を目指す取り組みを指します。このGXを目指す上で政府が設けた新しい基準の住宅が「GX志向型住宅」です。
数年前から住宅補助金の1つの基準となっていた「ZEH水準住宅」より、断熱性能・省エネ性能ともにワンランク高い基準の住宅となっています。

今回の補助金では、GX志向型住宅以外に、長期優良住宅やZEH水準住宅も補助の対象となっています。3つの住宅の要求性能と補助額を表にまとめてみました。

外皮性能の指標であるUA値は、熱の逃げやすさを表しており、数値が小さいほど熱が逃げにくい=断熱性能が高いことを表しています。
一次エネルギー消費量削減率は、断熱性能や設備仕様の向上によって、家庭内で使うエネルギーが基準エネルギーからどれだけ削減できるかを表したものです。長期優良住宅やZEH水準住宅の20%は割と達成が容易ですが、GX志向型住宅の35%は難易度が高い数値です。

消費エネルギーの大きい暖房や給湯の設備仕様を上げると達成しやすくなります。
また北陸など寒い地域では、換気設備を熱交換が可能な第1種換気設備にすると、暖房エネルギーの削減が大きくなり効果的です。

GX志向型住宅では基本的に太陽光発電設備が必須ですが、一部の地域に限っては太陽光発電設備を設置しなくても補助金の対象となることとなっています。
一部の地域とは下記の2つです。

①都市部狭小地 北側斜線制限の対象となる用途地域等であって、敷地面積が85㎡未満である土地
②多雪地域   垂直積雪量が100cm以上に該当する地域

北陸地域は基本的に「②多雪地域」に該当するため、太陽光発電設備を設置しなくてもOKです。
ただし設置した方がよりGXの理念に沿うことになります。いうまでもなく家計的にもお得です。

 

またGX志向型住宅の場合、HEMS設置が要件となってきます。
HEMSとは、家庭内の電気製品の使用量や稼働状況をモニター等で見える化し、エネルギーの一元管理を行うことができるシステムです。太陽光発電設備や、エネルギー消費の大きい暖冷房設備、給湯設備を繋ぎ自動制御することで、電力使用の最適化が可能となるものもあります。
こちらは詳細が未発表なので、現時点でどのレベルのHEMSが必要となるか明らかになっていません。

 

<2>補助金活用の要件とは?

住宅の性能以外にも、いくつか要件があります。

①対象となる住宅

今回の補助金は、「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」「賃貸住宅の新築」をする場合に受け取ることができます。居住することを目的とした新築が条件となっているため、別荘は対象になりません。

また今回の事業より対象となった「賃貸住宅の新築」では、補助金分を家賃に還元することになっているので、通常より安く借りることができます。新築ではなく賃貸でお考えの方は、この条件で探してみると良い物件に出会えるかもしれませんね。
【GXタイプ】の賃貸住宅(共同住宅)では、要件に適合する部屋数×補助額がオーナーの受け取ることができる補助金額となります。ただし【子育てタイプ】では、要件に適合する部屋数の1/2までしか補助の対象とならないため、注意が必要です。

 

②住宅の規模

補助金の対象となるのは、延べ面積が「50㎡以上240㎡以下」です。

 

③建設地

建設地が以下に該当する場合、補助の対象となりません。

・土砂災害特別警戒区域

・災害危険区域 (急傾斜地崩壊危険区域、又は地すべり防止区域と重複する区域に限る)

・都市再生特別措置法第88条第5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同上第3講の規定による勧告に従わなかった旨が公表されたもの

・市街化調整区域 かつ 土砂災害警戒区域 または 浸水想定区域※
※洪水浸水想定区域又は高潮浸水想定区域における浸水想定高さ3m以上の区域

ただし既存住宅の建替にあたってやむを得ない場合は補助の対象となることがあります。
建設予定地が該当しているかどうかは、住宅会社に確認してもらいましょう。

 

④対象となる世帯

今回の補助金は、タイプごとに補助の対象となる世帯が異なります。

【GXタイプ】は全世帯が対象となります。
【子育てタイプ】は、子育て世帯等限定となっています。

子育て世帯等に該当する世帯は次の通りです。

 

<3>補助金取得のためにすべきことは?

この補助金の申請は全て住宅会社が行います。補助金を活用したいとお考えなら、住宅会社に「子育てグリーン住宅支援事業を使いたい」と伝えましょう。

既にプランや仕様を決めている場合は、現在の仕様でGX志向型住宅に該当するのか確認してもらいましょう。該当しない場合は、【子育てタイプ】の長期優良住宅かZEH水準住宅を活用するのか、仕様変更を行いGX志向型住宅のレベルまで引き上げるかの検討が必要です。
この場合、仕様変更に要する金額と補助金額を見比べる等が必要になります。

また下記スケジュールを守る必要があるため、期限内に各申請が可能かも確認してもらうようにしてください。

①対象工事への着手

令和6(2024)年11月22日以降に対象工事(一般的に基礎工事の次の工程である地上階の柱、または壁の工事等)を開始するものが対象です。

 

②補助金の交付申請

交付申請期間は、令和7(2025)年3月下旬(予定)~令和7(2025)年12月31日までです。
ただし予算の上限に達した場合は、その時点で締め切りとなります。

また交付申請するためには、下記条件を満たす必要があります。

・一定以上、工事が進捗している(基礎工事の完了)
・住宅性能が要件を満たすことを第三者機関が確認した証明書が発行されている
(BELS評価書、長期優良住宅の認定通知書等)

 

③入居・完了報告

令和8(2026)年7月31日までに住宅の引渡しと入居を行い、完了報告を行う必要があります。
期限までに完了報告の提出ができない場合、補助金の交付は取り消されます。
完了報告には、新居に引っ越したことが分かる住民票の提出が必要です。

 

最後に注意事項を一つ。今回の補助金の予算は「GX志向型住宅分:500億円」「長期優良住宅・ZEH水準住宅分:1,350億円」となっています。前年度事業までは住宅タイプ毎に予算は分かれていませんでした。
今回の事業では、補助額が大きく予算が少ないGX志向型住宅の予算消化が早いのではないかと予想されます。
補助金活用をお考えの場合は早めの申請をお勧めします。

 

<まとめ>

今回はこれまでにない160万円と高額な補助金で話題の「子育てグリーン住宅支援事業」について解説しました。今まさに家づくりを進めている場合や、これから家づくりをスタートする場合は、是非活用することをお勧めします。
住宅の性能レベルについて、GX志向型レベルまで引き上げるか迷っている場合は、一度検討してみてください。
ZEH水準住宅が補助金の対象となり数年が経ち、今では割とスタンダードな基準となってきました。
政府目標では2030年ZEH義務化を掲げているため、5年後には最低レベルがZEH水準、GX志向型住宅が当たり前の基準になっているかもしれません。
数年後に後悔しないような家づくりをお勧めします。

 

補助金内容についてもっと詳しい内容が聞きたい、建設予定の住宅がGX志向型住宅に該当するか知りたいという方は、是非ウッドリンク・ラボへお越しください。さらに詳しく解説します。

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また今回は「住宅の新築」に限って解説しましたが、「既存住宅のリフォーム」を行う場合も補助金の対象となります。気になる方は、事業のホームページを確認してみてください。

子育てグリーン住宅支援事業【公式】