こんにちは。北陸型木の住まい研究会の田村です。
家づくりを進めるうえで悩むのが「間取り」ですよね。
とくに2階建ての場合は、階段をリビングに設けるかどうかで悩む方も多いはず。
リビング階段は「家族とのコミュニケーションが取りやすい」、「廊下を縮小して他の用途に活用できる」、「リビングに開放感が生まれる」などのメリットがある一方で、リビング階段反対派の意見で多いのが「冬寒く夏暑い」です。
今回はリビング階段による室内の温度差について実測データで検証します。
<1>リビング階段は冬寒いって本当?
一般的に暖かい空気は上に、冷えた空気は下に溜まりやすいと言われています。この原理から考えると、冬は2階から冷えた空気が1階のリビングに下りてくることで寒く感じると言えます。
今回は、断熱等級6のリビング階段がある家で暖房24℃設定のエアコンをLDK1台のみ稼働し、家全体で各室の室温がどれくらいかを検証しました。
すべての部屋で20℃を下回らない結果となりました。
リビング階段の吹き抜けにより暖められた空気が効率よく2階に上がったと考えられます。また、リビングはエアコンの設定どおり24℃台でリビング階段(吹き抜け)による室温の低下は見られませんでした。
<2>リビング階段は夏暑いって本当?
夏場に2階に行くと「蒸し暑い!」と感じた経験はありませんか?
先述したように暖かい空気は上に溜まりやすいため、夏は2階が高温になりやすいです。「リビング階段を設けると夏暑い」と言われる理由は、リビングで冷やした冷気が2階に逃げてしまうと考えられていることが原因かもしれません。そこで、リビング階段(吹き抜け)の場合は冷えた空気が下に溜まりやすい原理を利用して、2階のエアコンを稼働し1階に冷気を送風することで家全体に冷房が届きやすくなります。
断熱等級6のリビング階段がある家で冷房25℃設定のエアコンを2階寝室1台のみ稼働し、家全体で各室の室温がどれくらいかを検証しました。
最高外気温が34.2℃の真夏日でしたがすべての部屋で28℃を超えない結果となりました。冷房が届く2階ホールで25.9℃に対し1階のリビングでも26.4℃と冷気がリビング階段(吹き抜け)を通して行き届いていることがわかります。
今回の検証は高断熱高気密住宅(断熱等級6)での実測となります。以上の2つの検証を通して十分な断熱性能があれば「リビング階段を設けると冬寒く夏暑い」という不安要素は払拭できると言えます。
<3>リビング階段を設ける際のチェックポイント
・補助エアコンやサーキュレーターで空調管理を
エアコン24時間運転では家全体の温度差をなくすために室内ドアはできるだけ開けておくことを推奨していますが、生活の中でドアを閉める場面もあると思います。ドアを閉めると室温はやや変化するため、必要に応じて冬は小型の温風ヒーターなどの補助暖房、夏はサーキュレーターなどで空気を循環させて各室へ送風するとより良い環境になります。
・エアコンは2階ホールに設置すると夏涼しく
今回は2階の主寝室のエアコンで検証したため子供室に冷気が届きにくく室温は27℃前後となりました。2階ホールに設置するとさらに家全体に冷房が届きやすくなります。
<まとめ>
今回は、「リビング階段は冬寒くて夏暑いのか」について実測データを基に検証しました。
断熱等級6レベルの高断熱高気密住宅であれば、エアコン1台の稼働で家全体の室温が、冬は20℃を下回らず、夏は28℃を上回らないという結果となりました。リビング階段を採用するなら高断熱化が重要と言えますね。リビング階段をご検討中で冷暖房の効きが不安という方は是非参考にしてみてください。