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木の住まいコラム

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建てるならどんな屋根?

こんにちは。北陸型木の住まい研究会の山田です。家づくりにおいて理想の外観を考える時、まず外壁の色や素材に意識を向ける方が多いのではないでしょうか。確かに外壁材はデザイン決めで欠かせない部分ですが、実は屋根の形や素材でも印象がかなり変わってきます。今回は屋根形状や屋根材の選び方についてお話しします。

1.屋根形状の選び方
2.屋根材の選び方
3.おすすめの屋根形状×屋根材

<1>屋根形状の選び方

外観デザインを大きく左右するのが屋根形状です。様々な形の屋根がありますが、今回は木造住宅でよく採用される3種類をご紹介します。

切妻(きりづま)

2枚の屋根を合わせた三角屋根で、和風、洋風、北欧風など幅広いテイストに合わせやすいです。屋根が見えない三角の方を妻側、屋根が流れていく方を平側と言いますが、玄関を妻側にするか平側にするかで家の印象が変わります。また屋根の勾配角度を緩やかにすれば温かみのある雰囲気に、角度をつければシャープな雰囲気になります。

片流れ

片方に傾斜をつけた1枚屋根で、シンプルでスタイリッシュな雰囲気になります。勾配天井の場合、屋根までの空間で小屋裏収納やロフトを作ったり、吹き抜けにして開放感を出したりすることもできます。

寄棟(よせむね)

屋根を支える木材の中で一番高い所に位置する材料を「棟木(むなぎ)」と呼びます。寄棟は棟木を中心に4方向に流れる屋根形状です。どっしりと構えて重厚感のある雰囲気になります。また4方向から屋根を寄せ合っているので耐風性に優れています。

<2>屋根材の選び方

屋根の素材も色々あります。特徴やメリット・デメリットを理解した上で、何を重視したいかで選びましょう。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウムという合金で膜を作った金属屋根です。耐久性が高いのが特徴で、雨や積雪の多い地域にもおすすめです。また軽い素材なので屋根自体が軽くなり、重い屋根材に比べて地震時発生時の建物ダメージを軽減することができます。ただし沿岸部や排気ガスが多い地域では錆びのリスクが高まるため、こまめなメンテナンスを心掛けましょう。

スレート

セメントを固めた屋根で、コロニアルやカラーベストとも呼ばれます。価格が安く、施工性が高いので新築時の初期コストを抑えたい方におすすめです。またスレート屋根も比較的軽いので地震時のダメージを軽減できます。一方で防水性を保つために定期的な塗装が必要であったり、ひび割れやすかったりと耐久性にはあまり優れているとは言えません。

粘土を主成分とするものが一般的で、他の屋根材に比べて耐久性が高いのが特徴です。その反面屋根が重くなるので、地震発生時に建物にかかる負荷は大きくなります。瓦屋根と言うと和風なイメージが強いかもしれませんが、丸みがあってカラーバリエーションが豊富な洋瓦なら洋風・北欧風の家にもマッチします。

<3>おすすめの屋根形状×屋根材

好みのデザインで形状と屋根材を選ぶのも良いですし、暮らし方に合わせて適切な組み合わせを考えるのも良いでしょう。ここまでの話を踏まえて、おすすめの形状・屋根材の組み合わせを目的別にご紹介します。

太陽光発電システムを載せる場合

「片流れ屋根×ガルバリウム鋼板」がおすすめです。片流れ屋根は他の形状に比べてパネル搭載枚数の制限を受けにくく、屋根の向きや角度の工夫で発電効率を高めることができます。周囲の状況にもよりますが、屋根の向きは南側で角度は30度にすると最も効率よく発電できます。また太陽光パネルは重いので、屋根材は軽くて耐久性のあるガルバリウム鋼板を選ぶことをおすすめします。

積雪が多い地域の場合

「切妻屋根×ガルバリウム鋼板」がおすすめです。切妻屋根は落雪の方向をコントロールできますし、角度をつければ雪が落ちやすくなります。ただし玄関を平側にすると雪が落ちて危ないので、特に雪が多い地域では妻側に玄関を設けましょう。片流れ屋根でも雪は落とせますが、落雪が片側に集中するので十分なスペース確保が必要になります。また屋根材はガルバリウム鋼板がおすすめです。特に上信越や北陸は水分を含んだ重い雪が多く、積雪1.5mの重さは瓦屋根の7倍以上にもなります。軽いため屋根への負担を軽減でき、錆びにくいという点で積雪地域にはガルバリウム鋼板が良いでしょう。

台風に強い家にしたい場合

「寄棟屋根×瓦」がおすすめです。寄棟屋根は四方向に屋根があるため風を流しやすく、突風や強風が吹いても力を分散しやすいです。また軒の出を深くすれば雨が外壁に当たりにくくなるので、外壁の劣化スピードを遅らせることも期待できます。屋根材は重くて耐久性のある瓦がおすすめですが、しっかりと固定ができる防災瓦を選ぶと良いでしょう。従来の瓦は桟木という細い木材に引っ掛けて屋根に載せているだけの状態でしたが、防災瓦は上下で瓦同士を連結することができ、さらに釘で固定するので瓦のずれや落下を防げます。落下防止は台風対策としてはもちろん地震発生時にも安心です。

<まとめ>

屋根は形や勾配、屋根材の組み合わせ次第で雰囲気が変わります。外観の印象を決める重要な部分なので、まずは好みのデザインで選んでみてください。和モダンには切妻屋根や寄棟屋根が、洋風・北欧風には切妻屋根が、シンプルモダンには片流れ屋根が選ばれることが多いです。また屋根の勾配角度によっても印象が変わりますので、理想のイメージを工務店さんに伝えながら打ち合わせを進めましょう。

また屋根材はデザイン優先も良いですが、機能面も考えて選ぶことをおすすめします。耐久性や耐震性を重視したい方はガルバリウム鋼板、コストダウンを重視したい方はストレートが良いでしょう。防災瓦など現代の環境や暮らしに沿った屋根材も開発されていますので、重視したいポイントを決めて色々と比較しながら選んでみてください。