家づくりお役立ち情報

木の住まいコラム

HOUSE BUILDING
INFORMATION

床暖房とエアコン 選ぶならどっち?

こんにちは。北陸型木の住まい研究会の山田です。

新築住宅をご検討されている方の中には、床暖房の導入をお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。足元からポカポカと暖めることができる床暖房は、冷え性の方や小さなお子様がいるご家庭には嬉しいですよね。一方で電気代や燃料費が高騰する中で、床暖房は他の暖房機器に比べてお得なのか気になるところではないでしょうか。そこで床暖房とエアコンの暖房費をシミュレーションで比較してみました。

今回は次の3つのテーマに沿ってお話しします。

<1>床暖房の種類
<2>床暖房とエアコン 暖房費はどちらがおトク?
<3>床暖房の暖房費を抑えるためには

<1>床暖房の種類

床暖房には大きく分けて3つの種類があります。

①ヒートポンプ式

室外機(ヒートポンプ)で大気中の熱を取り込み、圧縮で高温になった温水を床下のパイプに流します。オール電化にも対応しています。

 

②ガス温水式

熱源機で加熱した温水を床下のポンプに循環させることで床を暖める仕組みです。給湯器で温水を沸かすため、温まるまでの時間が比較的早くなります。

 

③灯油式

ボイラーで温めた温水を床下のパイプに流す仕組みです。電気をほとんど使用しないので、電気代はあまりかかりません。ただし灯油の補充や定期的なメンテナンスは必要になります。

 

<2>床暖房とエアコン 暖房費はどちらがおトク?

まず床暖房だけで暖かくなるのか、また暖房費はいくらぐらいになるのかをシミュレーションしてみました。

①室温シミュレーション

■シミュレーション条件
・建築場所:石川県 金沢市
・断熱性能:等級5(Ua値0.58)
・10月末~5月初旬まで、1階のLDK(下図参照)でガス温水式床暖房を23℃設定で24時間稼働

 

■室温シミュレーションの結果

上グラフの赤色の部分がLDKの室温で、青色の部分が外気温です。床暖房をつけている1月~5月初旬、10月末~12月の間は常時20℃以上の室温を保てていることがわかります。人間の足首は最も温度を感知しやすく、足元が冷えると体感温度が低くなってしまいます。床暖房は室温を暖かく保てることに加え、足元からじんわり暖めてくれるので冷えを感じにくくなります。

 

②暖房費シミュレーション

■シミュレーション条件
・建築場所:石川県 金沢市
・断熱性能:等級5(Ua値0.58)
・10月末~5月初旬まで24時間稼働
・電気料金単価: 41.27円/kWh (夜間:28.38円/kWh)
・電気料金単価 (円/kWh) × 消費電力量(kWh)で暖房費を算出

床暖房とエアコンはどちらがお得なのかを検証するために、床暖房は23℃設定、エアコン(10畳用)は24℃設定で24時間稼働させた際の暖房費をシミュレーションしました。エアコンは部屋の高い位置から風が流れるのに比べて床暖房は足元から温めてくれるため、同じ温度設定にしても体感温度は床暖房の方が高くなります。今回はそれを考慮して、床暖房23℃設定に対し、エアコンは1℃高い24℃設定でシミュレーションしています。

■暖房費シミュレーションの結果

7か月間(暖房運転期間)の合計は…
床暖房 :148,500円
エアコン:139,763円

ガス温水式床暖房を採用した場合とエアコン10畳用を採用した場合で比較すると、暖房費はエアコンの方が約1万円安くなるという結果になりました。とは言えそこまで大きな差額ではないので、暖房費を少しでも抑えたいという方はエアコンを、足元の冷えが気になる方やエアコンの風が苦手な方は床暖房を選ぶと良いでしょう。

<3>床暖房の暖房費を抑えるためには

少しでも暖房費を抑えて床暖房を使いたいという方は、次の3つを意識してみてください。

 

①ON/OFFを繰り返さない

暖房代が高くなりやすいのは、スイッチをONにしてから部屋が温まるまでの立ち上げ時間です。起動する際に消費する電力量は、長時間つけっ放しにした際の消費電力よりも多いと言われています。今回のシミュレーションも24時間つけたままで暖房費を算出しましたが、一度つけたらなるべく消さずに起動回数を減らすことが重要です。

 

②カーペットや家具を置かない

暖房面がカーペットや家具で覆われていると暖房効率が下がってしまいます。できるだけ床暖房の範囲内はカーペットや大型の家具を置かないようにしましょう。

 

③気密性・断熱性を高める

床暖房・エアコンのどちらにも共通しますが、暖房費を抑えるためには窓からの冷気を遮断し、熱を外に逃がさない「高気密・高断熱」な家づくりが重要です。どんなに高性能な暖房器具を使ったとしても、家が隙間だらけで外気温の影響を受けやすい状態では効率よく暖房することはできません。家の気密・断熱性能を上げることでエネルギーの損失が少なくなり、結果的に暖房費を大幅に抑えることが可能です。

<まとめ>

エネルギー資源が高騰している今、暖房費がかさむ冬はできるだけコストを抑えたいですよね。今回のシミュレーションの結果では、エアコンの方が約1万円 暖房費が安くなるという結果になりました。一方でエアコンは上から暖かい空気を出すのに対し、床暖房は足元から温めるため体感温度が高くなりやすいのが特徴です。今のお住まいでの悩みや、自分たちがどんな暮らしがしたいのかを踏まえて暖房器具を選びましょう。