こんにちは。ウッドリンクの山田です。

皆さんは木造住宅の構造体がどのように作られているか考えたことはありますか？家が完成すると壁の中に隠れて見えなくなってしまうため、あまり意識したことがないという方が多いかもしれません。しかし構造は家を支える最も重要な部分です。今回は家の構造体がどのように作られるのかをご紹介します。

＜1＞家の構造体ができるまで
＜2＞プレカットシステムのメリット
＜3＞プレカット工場を見てみよう！

＜1＞ 家の構造体ができるまで

木造住宅の構造体は大きく分けて「構造材」と「羽柄材」に分けられます。
●構造材…柱、土台、梁(桁)など、家の骨格となる部分
●羽柄材…筋交(すじかい)、間柱(まばしら)、屋根タルキなど、屋根や壁を構成する部材

構造材と羽柄材を組み合わせて、家の構造体が作られていきます。

①軸組設計

まずはCADというソフトウェアを使って、コンピュータ上で骨組みの設計図を描きます。建物は家具や積雪などの重みに加えて、地震や風など様々な方向から加わる力にも耐えなければなりません。丈夫で安定した家を建てるために、3Dパースで確認しながら最適な材配置を考えます。

②プレカット

プレカットとは「工場で事前に(プレ)・木材の加工(カット)」をすることです。昔は木材の長さカットから接合部の加工まで、すべての加工を大工さんが行っていました。しかし人の手ではかなりの時間を要しますし、大工さんによって加工精度にムラができてしまいます。現在はCADで作成した設計図を読み込んで、機械で加工してから現場に配送する「プレカットシステム」が主流になってきています。

③建築

プレカットした材料が建築現場に運び込まれたら、いよいよ構造体を作っていきます。設計図を基に大工さんが土台部分から組み立てていきます。家の構造ができたら内外装や電気などの工事が進められていきます。

＜2＞プレカットシステムのメリット

先程お話しした通り、プレカットシステムでは材料を工場で加工してから建築現場に運びます。材料をプレカットすることで、品質が安定した強い構造体を作ることができます。プレカットシステムのメリットは大きく分けて3つあります。

①品質の安定

家を建てる時、住宅会社を選ぶことはできても大工さんを選ぶことはできません。大工さんも人間なので、技術レベルやその時の体調によって品質や加工基準にばらつきが出てしまう可能性があります。構造は家を支える非常に重要な部分なので、1つでも加工ミスや精度ムラがあると重大な欠陥になりかねません。
プレカットでは機械で正確に測定するので、設計図通りの寸法で加工できます。また構造材・羽柄材といった木材だけでなく、断熱材や床合板などもプレカットできます。すべての材料がぴったりと納まれば、家全体で高い品質を保つことができます。

②工期の短縮

家の大きさにもよりますが、設計～上棟まで大工さんがすべて手作業(手刻み)で行うと約265時間も要します。仮に週5日×8時間ずつ作業をしたら半年以上かかる計算です。対してプレカットは大工さんの12分の1の時間で済ませることができます。特に加工にかかる時間を大幅に短縮できるので、大工さんの負担軽減にもなります。

③コスト削減

工期が長くなったり大工さんの人数を増やしたりすれば、そのぶん人件費が掛かります。機械によるプレカットなら大工さんの手間や作業時間を減らすことができるので、人件費の大幅なコストダウンにつながります。また現場での加工が最小限になるため、廃材の処分費を削減することもできます。

このようにプレカットシステムが普及したことで、高品質な材料を短納期で現場に届けることができるようになりました。

＜3＞プレカット工場を見てみよう！

建築現場に運ばれるのはプレカット済みの材料が大半なので、プレカットの現場を見る機会はなかなかありませんよね。そこで当社のプレカット工場の様子を少しご紹介したいと思います。

●材料集荷(ピッキングシステム)

プレカット前の木材を種類別にストックしておき、CADデータを基に必要な材料を自動で集荷します。建物ごとに必要な材の種類や本数は異なりますが、集荷を自動化することで正確に集めることができます。また梁だと一番重いもので1本約200kgにもなります。これを人力で集荷すると落として傷がついたり、事故が発生したりするリスクがありますが、機械なら重い材料も傷つけることなく安全に集荷できます。

●プレカット加工

長さのカットや仕口(しくち)と呼ばれる接合部の加工を行います。コンピュータに入力された設計図のデータを機械に反映させることで、高精度かつ短時間で加工を行うことができます。機械で加工した後は人の目で加工精度を確認します。

●梱包・配送

加工した製品は倉庫で保管し、現場の進み具合に応じて必要なタイミングで配送します。雨の日に配送する場合でも材料が濡れないようにビニールで丁寧に梱包し、またトラックへの積み込みも屋根の下で行います。

当社のプレカット工場は富山県射水市にあり、事前にご連絡をいただければ見学も可能です。あなたの家の構造がどのように作られているのか、壁の中に隠れてしまう前にぜひ一度見に来てください！

＜まとめ＞

家を建てる際はデザインや間取りなどに注目されがちですが、構造は住んでからの安全・安心にかかわる非常に重要な部分です。プレカットした材料ならばらつきのない高品質な家を作ることができます。また自分の家の材料がどのように作られているのか、実際に見ることで納得した上で家づくりを進めることができます。北陸で家づくりをご検討中の方は、ぜひ一度プレカット工場の見学にいらしてください！