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木の住まいコラム

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太陽光発電システム 新築時に設置する6つのメリットとは?

こんにちは。北陸型木の住まい研究会の多賀です。

梅雨明けの発表もまだですが既に厳しい暑さが続いていますね。こうも暑いと熱中症の危険があるため、在宅時にはどうしてもエアコンをつけっぱなしにする必要があります。
そうなると電気代が気になるところです。
ニュースでも騒がれていますが、6月7月は2023年2月より続いていた政府による補助が段階的に縮小・終了となり、さらに再エネ賦課金の値上げによって、電気代は実質値上げとなりました。8月使用分からは緊急的に補助が復活予定ですが、発表されている内容では3ヶ月で終了のようです。(酷暑乗り切り緊急支援
様々な商品の値上がりが続く中、「電気代だけでも気にせず過ごしたい。太陽光があったらなぁ・・」と考えることはありませんか?特にこれから新築をお考えの場合は、「新築時に設置するべきか」と悩まれる方も多いことでしょう。

今回は、太陽光パネルの設置に踏み出せない方に向けて新築時の設置がお勧めの理由をお話しします。
またやむをえず後から設置する場合でも、あらかじめ検討しておくことで有利になる内容や、使える補助金についてもご紹介します。是非最後までご覧ください。

<1>新築時に設置する場合のメリットとは?
<2>既存住宅へ設置する場合の注意点とは?
<3>太陽光発電システム設置に活用できる補助金とは?

 

<1>新築時に設置する場合のメリットとは?

新築時に設置する場合のメリットを6つご紹介します。

●設計上のメリット
①発電効率の良い屋根の向きや角度、形状を考慮できる

太陽光発電システムは太陽光を利用して発電を行なう仕組みですから、どれだけ太陽光を受けることができるかが重要になってきます。住宅では屋根載せの太陽光が一般的であるため、屋根の向きや角度を発電効率の良いものにすることで、発電量を高めることができます。ちなみに方向は南、角度は30°が最も効率が良いとされています。

また太陽光パネルをたくさん載せたい場合は、南向きの片流れ屋根がお勧めです。切妻屋根や寄棟屋根では、効率の良い方位に載せることができるパネル枚数が限られてしまいます。

 

 

②屋根に穴をあけない工法を選択できる

太陽光パネルを屋根に固定するためには、基本的には屋根に穴をあける必要があります。防水工事を行った屋根に穴をあけるのは、穴あけ後の処置をしっかり行うとしても望ましくない工事です。
そのため最近では、屋根に穴を空けない工法「キャッチ工法」が選択できるようになってきました。ただし屋根の種類や屋根の角度、お住まいの地域の冬の積雪量によってはキャッチ工法が選択できない場合もあるため注意が必要です。
屋根の種類や角度は新築時であればある程度調整可能です。

 

③太陽光パネルを設置した状態で地震に耐えることができる構造にできる

地震の揺れは建物の重さに比例して大きくなります。太陽光パネルの重さは1枚あたり15kg~20kg程ですが、それが10~20枚載るとなるとかなりの重量となるため、あらかじめ地震がきても問題ないか検証しておくことが重要です。新築時であれば、太陽光パネルの重さを考慮した構造設計が可能になります。

 

●工事上のメリット
④配線を壁の中にしまうことができる

太陽光パネルで発電するためには様々な配線や機器の設置が必要になります。新築時であれば建物の工事と並行して配線工事を行えるため、壁の中に配線をしまうことができます。

 

⑤新築時の足場を活用できる

屋根の上に太陽光パネルを運び工事をするためには、屋根周辺に足場の設置が必要になります。新築時であれば建物工事用の足場があるため別途足場工事の必要がなく、足場工事費(約20万円)もかかりません。

 

●申請上のメリット
⑥手続きによる発電できない期間の短縮

太陽光パネルは設置したその日から使用できるものではありません。太陽光パネルで発電し家庭で使って余った電力を売電する「余剰売電」が一般的ですが、この場合「系統連系」が必要になります。この申請手続きには半年ほどの期間を要します。
建物の工事と並行して申請を行い計画的に進めることで、建物の引き渡し時からそう遠くない時期に発電開始が可能となります。

 

このように太陽光発電システムは新築時に計画すると、発電効率や耐震性、耐久性、見た目の仕上がりの面、費用負担の面でも良いことが分かります。とはいえ太陽光発電システムは高額で少容量のものでも100万円以上はするため、予算が確保できない場合は新築時の設置を断念するケースもあるかと思います。
次に既存住宅へ設置する場合の注意点をご紹介します。

 

<2>既存住宅へ設置する場合の注意点とは?

●これから新築する場合で、新築から数年後に設置する場合

「新築時に設置する場合のメリット」の①~③に関しては、設計に関するものなので、新築後数年以内の設置であれば、あらかじめ対応させておくことも可能です。(新築時期から期間が経ち過ぎるとパネルや固定架台の規格が変わることがあるため、対応できなくなる場合があります。)

新築時と違って対応できなのは配線が一部露出になる点、足場代が別途かかるという点です。
また申請手続きに時間がかかるため、設置を思い立ってから発電開始までに半年ほどかかることになります。

 

●新築から10年以上の住宅に設置する場合

建築後10年以上経過している住宅への設置を検討する場合はまた別の注意点があります。
太陽光パネルには設置後20~40年の保証が付きますが、保証期間中に屋根改修を行う場合、太陽光パネルを一度取り外すと保証が切れてしまいます。屋根の葺き替え時期が迫っている場合は、屋根改修や耐震性に問題がないかも併せて検討しておくことをお勧めします。

 

<3>太陽光発電システム設置に活用できる補助金とは?

太陽光発電システムを設置する場合、各県から補助がでる制度がありますので一部ご紹介します。

【富山県】再生可能エネルギー導入促進補助金

〇太陽光発電設備を設置する場合、1kWあたり7万円、最大35万円の補助
〇FIT制度(固定価格買取制度)の認定を取得しないこと
〇国が行う補助制度を活用する場合は併用できません(子育てエコホーム支援事業など)
https://www.pref.toyama.jp/1705/kurashi/kankyoushizen/kankyou/saienehojo.html

【福井県】太陽光・蓄電池設備導入促進事業補助金

〇太陽光発電設備を設置する場合、1kWあたり5万円、最大25万円の補助
〇FIT制度(固定価格買取制度)の認定を取得しないこと
〇国が行う補助制度を活用する場合は併用できません(子育てエコホーム支援事業など)
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/dengen/shin-energy/fukui-zyutakutaiyokou.html

【新潟県】新潟県雪国型ZEH等導入促進補助金

〇太陽光発電設備を設置する場合、1kWあたり7万円、最大31.5万円の補助
〇FIT制度(固定価格買取制度)の認定を取得しないこと
〇国が行う補助制度を活用する場合は併用できません(子育てエコホーム支援事業など)
〇新築する住宅が「雪国型ZEH」の要件を満たす場合は、65万円の補助あり
https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kankyoseisaku/0583945.html

 

県の補助の場合、国の予算が使われている場合が多いため、子育てエコホーム支援事業との併用ができないこととなっています。新築の場合は、子育てエコホーム支援事業の方が補助額が高いため、そちらの活用をお勧めします。新築でも子育てエコホームの要件に適合しない場合、もしくは既存住宅への太陽光発電システムの設置を行う場合は、県の補助を活用してみてはいかがでしょうか。

この他に、各市町村単位でも補助がでる場合があります。県の補助金と併用可能となっているものもありますので、設置を検討する際は是非一度チェックしてみてください。

 

<まとめ>

今回は新築時に太陽光発電システムを設置するメリットをお話ししました。
新築時に設置することで、発電効率の良い屋根形状や耐震性、耐久性を考えた設計ができること、見た目の仕上がりや費用負担の面でも良いなどです。これから新築する予定があっても、新築時の太陽光設置を行わない場合は、設計面だけでも太陽光設置を見越したものにしておくことをお勧めします。
また太陽光発電システム設置に対する補助金は、県からの補助金では子育てエコホーム支援事業と併用できないため注意が必要です。既存住宅の場合は県からの補助金が使えるため、太陽光発電システムの設置をご検討の場合は、一度確認してみることをお勧めします。