<木材に加工されてからも木は生きる>
木は二度生きると言われています。一度目は植林後です。枝を伸ばし、葉をつけ、幹が太くなって大きな木へと成長していきます。もう一度は、伐採し木材として利用するようになってからです。古民家の中には築後何百年も経っているものもありますね。その間も、木は生き続けているのです。
では木造住宅を解体してしまえば木の寿命は終わるのでしょうか。そんなことはありません。解体材は家具用の木質ボードにリサイクルされたり、近年では木質バイオマスという燃料としても使われます。
<環境負荷の低い木質バイオマス>
バイオマスとは、「再生可能な、生物由来の有機性資源」を指します。その中の木材からなるバイオマスのことを木質バイオマスと呼んでいます。木質バイオマスは間伐材や剪定枝など資材利用できない木を燃やすことでエネルギーを作り出します。木を燃やせば当然のことながら二酸化炭素が発生します。二酸化炭素の排出は地球温暖化の原因になるとして規制が掛かっています。しかし木質バイオマスは再生可能エネルギーの一つとして位置づけられています。それはなぜでしょう。
その理由は、「カーボンニュートラル」という性質にあります。木質バイオマスを燃やすと確かに二酸化炭素を排出しますが、それは本来、木が光合成のために大気から吸収したものなのです。それら二酸化炭素は、燃やさずにいても腐敗と分解を進めていずれ大気へ放出されます。そのため木質バイオマスにより二酸化炭素を排出しても、地球全体の二酸化炭素濃度には影響がないのです。
<木材はエコマテリアルな材料>
また木はエネルギー消費量という面でも環境負荷の低い材料です。何かを製造したり動かしたりすると、そこには必ずエネルギーが必要となります。エネルギーを使えば二酸化炭素も放出されます。下のグラフは色々な素材で材料を製造した際に放出される炭素量を比較したものです。木質系の材料は他と比べ製造時のエネルギーが極端に少ないことがわかりますね。
木材は加工がしやすく、使うエネルギーの量が少ないのです。これは鋼材の1/53、アルミニウムの1/220にすぎません。リサイクルできるだけでなく製造時の消費エネルギーも少ない、木材はそんなエコロジーな材料(エコマテリアル)なのです。
家を一軒作るには、様々な資材を必要とします。それらを選択する際は、性能や価格、好みに加え、環境問題という視点もこれからの時代は入れておいたほうがいいかもしれません。