こんにちは。北陸型木の住まい研究会の田村です。
突然ですが、皆さんはこれから新しく家を建てる時の基準が法律で変わることをご存知ですか?
近年、「省エネ住宅」に注目が高まり馴染みのある言葉になってきました。しかし、どのような条件や基準があるのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。実は、新築住宅に求められる性能は年々上昇し、「省エネ住宅」の基準も段階的に引き上げられることになっています。そこで今回は、省エネ住宅のメリットや建てるための条件など、次の3つのテーマに沿ってお話しします。
<1>省エネ住宅とは?
<2>省エネ住宅を建てるメリット
<3>これから省エネ住宅を建てるためには?
<1>省エネ住宅とは?
「省エネ住宅」とは正式名称「省エネ基準適合住宅」の略で、暖冷房のエネルギー消費を抑えることのできる住宅のことです。省エネ基準のベースとなるのは、建築物省エネ法で、これまで何度も基準が改正されてきました。
現在の基準となるのは、2016年に改正されたもので、「断熱」「日射遮蔽」「一次エネルギー消費量」の3つの性能で省エネ住宅かどうかを判断します。
屋根・外壁・窓などの「断熱」の性能を高めることで、室内外の熱の移動を少なくし暖冷房にかかるエネルギーを抑えます。夏は室外からの日射を「遮蔽」し、室内の温度の上昇を抑えることで、冷房にかかるエネルギーを削減します。さらに、高効率のエアコンや給湯器、LED照明を採用することでエネルギーを上手に使い、「一次エネルギー消費量」を抑えることが重要となります。
<2>省エネ住宅にするメリット
省エネ住宅は、熱の出入りが少なく暖冷房にかかるエネルギーの使用量が少ないため、月々の光熱費も一般的な住宅と比較して抑えることができ、燃料資源高騰の影響を受けにくくなります。
また、省エネ住宅は、月々の光熱費の負担が軽くなるだけではなく、初期費用にも優遇措置が用意されています。具体的には、住宅ローンを借りて住宅を建てた場合に所得税や住民税が一定期間控除される、住宅ローン減税の控除率が一般的な住宅に比べて高くなります。つまり、支払った税金の一部が年末に戻ってくるということになり、省エネ住宅であればその額が大きいということです。ただし、合計所得や床面積等の制限がありますので必ず確認が必要です。
さらに、フラット35の金利が一定期間引き下げられる優遇が受けられたり、国から補助金が支給されたりします。国がすすめる高性能住宅だからこそ、様々な優遇措置を受けることができます。
また、高断熱化、高気密化により、健康面でもメリットがあります。部屋内や部屋間温度のムラが少ないため、夏涼しく冬暖かく暮らすことができ、入浴事故リスクの低減や喘息などになりにくいというデータもあります。
<3>これから省エネ住宅を建てるためには?
2022年の省エネ法改正により、2025年4月以降に新築する全ての住宅等に省エネ性能の基準適合が義務付けられます。つまり、これまで建てることのできた住宅が、2025年以降は建てられなくなるということです。
しかし、過度な不安を感じる必要はありません。全国の住宅建築業者の多くが既に省エネ基準を満たす住宅を標準で建てている傾向にあります。家づくりの際は、省エネ住宅に基準に適合した住宅を「標準仕様」としている住宅会社さんの中から選ぶと良いですね。
2025年省エネ基準義務化についてはこちらのブログをご参照ください。
2025年、省エネ基準義務化で何が変わる? | 北陸型木の住まい研究会 (hokuriku-kinosumai.com)
<まとめ>
「省エネ住宅」とは高断熱化、高気密化により、暖冷房のエネルギー消費を抑えることのできる住宅のことで、光熱費の負担が軽くなるだけでなく、初期費用の優遇措置や健康面でもメリットが得られます。
一方で、「省エネ住宅」の基準は段階的に引き上げられ、新築住宅に求められる性能も高くなってきています。省エネ住宅の普及が当たり前になれば、今は得られる住宅ローン減税や補助金等の優遇措置も少なくなっていきます。これから家づくりを始められる方は、5年後、10年後、その先を見据えた性能レベルの住宅を検討されると良いでしょう。