前回は、北陸地方の耐震意識についてお話しました。
第2回目は、家を建てる前に知っておきたいポイント「地震の揺れと地盤の関係」をご紹介します。
「家を建てよう!」と思ったとき、最初にしなければならないのは「土地探し」です。
では、良い土地の条件とはなんでしょうか?
「立地や周辺環境の良さ」「予算に見合った価格」…。もちろん、それらも重要です。ですが、耐震の観点から考えたときに重要なのは、地震時に「揺れにくい地盤」であることです。
では「揺れにくい地盤」と「揺れやすい地盤」は何が違うのでしょうか?
<柔らかい粘土層が厚い地盤に注意>
地面の下は、固い岩盤の層と柔らかい粘土層とが重なっています。この粘土層の厚さと、建物の性質で揺れやすさは決まります。
2階建て木造住宅では、柔らかい粘土層がだいたい10mほどだと、揺れやすくなるのです。
わかりやすく動画で説明します。この動画では、揺れにくい地盤を羊かん、揺れやすい地盤をプリンで表しています。
見てみると、プリンの上に建つ家の方が大きく揺れています。つまり揺れやすい地盤の上に建つ家は、揺れにくい地盤の上に建つ家に比べて、地震の影響を受けやすいということです。
<盛土になっている場所も、揺れやすい地盤>
日本は平地の面積が約3割と少なく、大半が山地に囲まれています。住まいの場所を広げるため、山を削り、土を盛ることで平らな土地をつくりました。土を盛った盛土になっている場所は、揺れやすい地盤です。
揺れやすい盛土は、他にもリスクがあります。盛土は元の層と新たな層の2層になり、その境が滑りやすいのです。
また雨が大量に降ると土が締まり、空洞が生じて、建物を支える力が弱くなります。固さが不均一だと、盛土自体や建物の重みで崩れやすくもなります。
下の図は、揺れやすい場所を色分けしたものです。盛土や埋め立てした場所は、赤色で揺れやすい部分です。
同じ地域であっても、表層地層や盛土の有無などにより宅地ごとの揺れ方は異なります。2016年の熊本地震においても、数百メートル離れただけで住宅の被害は大きく異なりました。
地盤が揺れやすいかどうかは、実際の地震の際、被害の大きさに関わる重要な問題なのです。
<揺れやすさって、どうしたら分かるの?>
各自治体のホームページを見てみてください。地震が来たときの揺れやすさマップが掲載されています。
土地探しの参考にされてみてはいかがでしょうか。
富山県射水市の揺れやすさマップ(画像:射水市ウェブサイトより)
<揺れやすさがピンポイントでわかる>
自治体の揺れやすさマップの他にも、「微動探査」とよばれる調査をすることで、マップでは分からない土地の揺れやすさをピンポイントで測定できます。
揺れやすいことが分かれば、その宅地の地盤特性に配慮した、より効果的な構造設計や耐震等級の検討などが可能となります。
注意が必要なのは、「微動探査」は「地盤調査」とは全くの別物だということです。
地盤調査は、2000年から建築基準法で義務付けられており、新築時には必ず行われる調査です。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
同じ地盤に対する調査ですが、地震時の地盤の揺れやすさは地盤調査では分かりません。
地震がきたときにしっかりと耐える家づくりができるよう、「微動探査」を行なっておくことをオススメします。
地盤調査・微動探査を詳しく知りたいならコチラ http://builders-support.co.jp/ground
<昔どんな土地だった?>
最後に、オマケです。土地が過去にどのように使われていたか、確かめる方法をご紹介します。
調査方法は、以下の4つがあります。
1 図書館にある古地図で調べる
2 国土地理院の国土変遷アーカイブで閲覧するhttp://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do#1
3 地名から読み取る(地名は地形に由来するものが多く、推測できる場合がある)
4敷地周囲の状況から読み取る
(日本建築学会の資料より)
地盤の重要性、ご理解いただけましたか?
次回は、家を建てる前に知っておきたい、残りの2つのポイントをご紹介します。北陸地方の方は、必見です!
地震に強い家づくりコラム