前回は気密性が高いことによって、家族の健康が守れ住宅を良好に保つことができると紹介しました。今回は、気密性能を大きく左右する「窓」について、大切なポイントを紹介していきます。
気密性は施工品質が一番大切ではあるのですが、私たち建築主側も気密性のアップに一役買うことができます。それは気密性の高い「窓の形状(開き方)」を選ぶことです。様々な種類がある窓ですが、形状によっては気密性を大きく損なうものもあります。窓の気密性が上がると、窓のそばにいてもヒンヤリとした寒さを感じにくくなったりするので、少しでも不快に感じることが少なくなればいいですよね。デザインや窓を開けたときの解放感などこだわりが出る部分にはなりますが、慎重に選択すべき点でもあります。
ではさっそく一般的によく目にする窓を気密性の高い順に並べてみましょう。
第1位 FIX窓
開かない窓なので最も気密性が高いです。
採光・眺望のための窓で開閉の必要がない所に設置します。 形状の自由度が高いので、デザインを目的に採用されることが 多いです。 |
第2位 たてすべり出し窓
左右どちらかを軸にして開く窓になります。
開く角度を変えることで、風量が調節できとても便利です。 ピタッと扉を閉めることができるので、 気密性が高い窓になります。 (よこすべり出し窓も同様です)
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同率2位 片上げ下げ窓
上の窓は固定で下の窓が上下にスライドする窓です。
窓面積に対して開く部分は少ないですが、 気密性はすべり出し窓同様に高いです。 |
第4位 引違い窓
一番取り入れられている窓です左右にスライドして
開閉し、どちらからも開けることができます。 また大きなサイズも豊富にあります。 ただ構造上レール部分や窓が重なる部分に すき間ができるため気密性は若干劣ってしまいます。 |
第5位 ルーバー窓
最近はあまり見かけなくなりましたが、
水回りで採用されることが多い窓になります。 複数のガラスが連動して開閉する窓です。 デザイン性に優れ、また省スペースで窓の開閉ができます。 ただ気密性は、ガラスとガラスがくっついているだけなので、 すきまが多くできてしまい、悪くなってしまいます。 |
日本で最も普及している引違い窓は、たてすべり出し窓や片上げ下げ窓と比べると、気密性はあまりよくありません。例えば住宅1軒分の窓を全て引違いにした場合と、逆に全てたてすべり出し窓にした場合とでは、C値0.3㎠/㎡相当の差が出るそうです。(最高の断熱・エコ住宅をつくる方法 西方里見著)
ウッドリンクでは快適に暮らすために必要な気密性能として、C値0.7㎠/㎡以下を推奨しています。そこに0.3㎠/㎡での割合は大きいと思いませんか。
ここで今回紹介した窓はほんの一部です。窓は家や部屋の印象にも大きく関わるため、デザイン性が最も気になるところだと思います。ただ、気密性を重視しているのであれば、窓を選ぶ際には少し気にかけてもらえればと思います。窓の形状や大きさはプランの打ち合わせに使う、平面図や立面図で確認することができます。どこにどんな窓が配置されているのか確認してみてください。
さて次回は気密測定の現場に潜入します。実際の作業内容や測定の仕方などを紹介します。
長持ちで快適な住宅には気密が大切コラム