断熱性能は、設備の仕様によって上げることが可能です。第5回はその効果的な部分でもある窓を取り上げます。
<窓の選択で断熱性能が変わる>
窓はさまざまな役目を担っています。窓があることで、明るい日差しや爽やかな風を取り入れられます。形や場所によって、室内と外の視界をつなぎ、閉鎖的な空間に解放感をもたらしてもくれます。また外観のデザイン、室内空間などビジュアル面でも重要な要素となっています。
まさに窓は、住居の重要な要素。
それだけでなく選択する窓によって断熱性能も大きく変わってくるのです。
<熱が最も出入りする流入路は?>
室内と外を出入りする、熱の主な流入路は窓です。
夏に部屋が暑くなるのは、壁や屋根、窓から熱が侵入しているからです。このうち窓の割合が最も多く、性能の低いガラスだと紫外線も70%近く侵入します。
窓の断熱性能を高めることは、家の断熱性能アップに最も有効です。そのため、窓の選択はとても重要になります。
<最も普及しているのは複層ガラス(ペアガラス)>
窓の構造について、少し勉強してみましょう。
窓は大きく「ガラス」と「サッシ(フレーム)」に分けられます。
ガラスには、機能の異なる多数の種類があります。日差しをどのように扱うかで、ガラスの選択は決まります。
1枚だけのガラスは単板ガラス(シングルガラス)、2枚以上のものは複層ガラス(ペアガラス)と呼びます。
今回は現在最も普及している、複層ガラスについて解説します。
< Low-E の場所で、窓の性能が変わる>
複層ガラスとは、図のように2枚のガラスで構成されているものです。
太陽の日差しを低減する働きを強化したガラスがLow-e複層ガラスになります。
Low-e金属膜は、窓の外側に付けるケースと内側に付けるケースがあります。外側に付けると、より日差しを遮ることができます。内側に付ければ、より高い断熱性能を発揮します。
この特性を利用して、住居の熱をコントロールできます。
例えばリビングなど南側の窓なら、夏の日差しは避けつつ、冬は少しでも取り込みたいと思うでしょう。この場合は断熱タイプのガラスを選択し、冬の日射取得を優先します。
ここで大切なのは、夏の日差しの低減方法です。太陽の角度を利用すれば、解決が可能となります。夏は庇(ひさし)やサンシェードで日差しをカットし、冬は取り込むように設計すればよいのです。
<中空層の気体によっても、性能に差が出る>
複層ガラスは、ガラスとガラスの間に空気やガス、真空などの中空層がつくれます。この中空層は、広いほうが熱を伝えにくいです。
また中に注入する気体によっても、性能に差が出ます。
性能の順番は、
空気 < アルゴンガス < クリプトンガス です。
右へ行くほど性能は高く、また価格も高くなります。
<耐久性と断熱性に優れた、アルミ樹脂複合サッシ>
窓を構成するのは、ガラスだけではありません。サッシもまた、性能に大きく関わってきます。
サッシの種類を、以下の表にまとめました。
アルミは樹脂に比べ、雨風の耐久性や強度の高いメリットはありますが、結露しやすいデメリットがあります。
一方樹脂は熱を伝えにくく、断熱性を高めるのに向いています。最近は、耐久性も高まってきました。
外側がアルミで内側が樹脂の、「アルミ樹脂複合サッシ」もあります。アルミの耐久性と強度、樹脂の断熱性を併せ持つサッシになります。
<ウッドリンクラボで、窓の性能を体感>
「窓の性能だけで、本当に断熱効果が変わるのかな」と疑問に思ったあなた。窓の性能の違いは、ウッドリンクラボで体感できます。
ガラスの種類によって熱の伝わり方が違うことを、実際に触って確かめてください。ご来場をお待ちしていますね。
さて次回は、「断熱性能を上げるポイント②断熱材」についてです。
住宅を、外気から守ってくれている断熱材。完成後は見ることのできない断熱材の、重要な役割について解説します。
断熱性能の高い家づくりコラム