第4回は、断熱性能を100%発揮する方法について詳しく解説します。
〈家の性能をきちんと確認してますか〉
例えば車を買うときは、必ず燃費を確認しますよね。でも車よりさらに高い家を建てるときには、きちんと性能を確認せずに建ててしまう。これでは、建てたあとに「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。
前回解説したUA値(ユーエーチ)や今回紹介するC値(シーチ)を確認して、快適な住まい環境を実現しましょう。
〈気密性はC値で判断しよう〉
断熱性能の高い家に、欠かすことのできないのが気密性です。
気密性の高い家とは隙間をできる限りなくした家のことを言い、「C値(シーチ)隙間相当面積 単位:c㎡/㎡」で表せます。
これは建物の床面積1㎡あたりの隙間を表す値で、値が小さいほど気密性が高いことを示します。
計算式は、家中の隙間面積(c㎡)を延床面積(㎡)で割って算出します。
例えば床面積100㎡の家でC値が1.0c㎡/㎡と算出されたら、建物全体の隙間を集めると100㎡×1.0=100c㎡の隙間があるという意味になります。
〈気密性があってこそ、断熱性能は生かされる〉
このC値は2012年施行の「改正省エネ基準」で削除されてしまいました。なので前向きではない住宅会社も中にはいると思います。
また数年前まであった基準も、世界と比べるとかなり悪いものになっています。日本では北海道と東北の一部地域で2㎠/㎡、その他で5㎠/㎡という基準でした。一方、カナダでは0.9㎠/㎡、スウェーデンでは0.7㎠/㎡以下と定められています。
いずれにせよいくら断熱性能を高めても、気密性が悪ければ元も子もありません。熱が逃げやすくまた外気の影響を受けるため、断熱の効果を得られないのです。
かといって気密性能だけが高く、断熱性能が劣っていても快適な家にはなりません。あくまでも、この2つはセットで効果を発揮します。
〈気密測定でC値を測れる〉
では気密性のC値は、どのように測ることができるでしょうか。気密性を確かめる調査を「気密測定」と言います。
その調査方法は、以下の手順で行われます。
①窓、ドアを閉める
②換気の給気口や洗面の排水口を塞ぐ
②送風機で建物内の空気を外に出す
送風機で屋内の空気を外に追い出すと、隙間の多い住宅では多くの外気が隙間から建物内に入り、屋内と屋外の気圧差が生じません。一方、隙間の少ない住宅では入り込む外気が少ないため、屋内と屋外の気圧差が大きくなります。
こうして差分を測定した数値から、隙間相当面積を求めていきます。
ちなみに、北陸の高気密高断熱住宅は1.0~0.3㎠/㎡の範囲となっています。
気密測定を行った結果、仮に多数の隙間が判明しても、建築途中の検査なら修繕・改良ができます。どこから空気が漏れているのか特定し、気密性能を要求する値にまで高められるのです。
〈気密性アップで、耐久性も確保できる〉
さて、気密性と断熱性の密接な関係を説明しましたが、実は気密性を高めることで耐久性の確保も実現できます。その理由は、柱など木材を腐らせてしまう「壁内結露」を防げるからです。
冬場など窓辺にできる結露は、よくご存知だと思います。外が寒く外壁や窓ガラスが冷たくなる一方、室内が暖かくて水蒸気が多いと発生します。
これが住宅の壁の中で起こってしまうのが、「壁内結露」です。濡れた状態が長く続くと、柱などの木材を腐らせてしまいます。
内部結露の被害写真
この対策は、壁に水蒸気を入れないこと。気密性を高めれば、「壁内結露」を発生させません。
〈家造りは、信頼できるメーカーへ〉
気密性は、家の性能のうち唯一実測できるものです。しかし施工のためには、腕のいい職人による高い技術が要求されます。手抜きやごまかしが効きません。
現在基準はなくなりましたが、住宅を建てる上で重要な要素の一つであることには変わりません。当社では気密測定を行い、断熱性・気密性の両面から快適な住環境づくりに取り組んでいます。ぜひご相談ください。
次回は、「断熱性能を上げるポイント①窓」について解説します。熱の出入りがいちばん多いのは窓やドアなどの開口部分。その中でも窓に焦点をあて、断熱性能をアップする秘訣をご紹介します。
断熱性能の高い家づくりコラム